2013年4月23日

『TOKYOてやんでぃ』の感想のようなもの

これまで昔話ばかりで、本作についてはほとんど触れていなかったので、これだけは書いておかないと。
感想。の・ようなもの。

人によって線引きは違うと思いますが、多少のネタバレがありますので、ご注意を。


寄席の楽屋の話ということくらいしかわからなくて観たけど、間違いなく寄席の楽屋の話だった!
主人公は落語家だけど、主役は楽屋。「末廣亭」の楽屋。

寄席の進行にあわせて、入れ替わり立ち替わり様々な人が出入りする楽屋裏のドタバタが、まるでもうひとつの寄席のように描かれていて、めちゃめちゃ面白かった。

寄席だから、もちろん落語家だけじゃない。いろんな芸人、演芸師、その他、が自分の出番にあわせてやって来る。
最初のころは人も少なくておだやかな雰囲気なのだが、トラブルや出会いや別れなどがあって盛り上がっていくうちに、師匠クラスの落語家さんたちが来るようになる。そして、最後に真打が登場すると、これは一人の落語家のドラマなんだと気づかされる。

楽屋を仕切るのは、立花亭ピカッチ。どこかのんびりした性格で、さすがプロの前座だけあって、少々のことでは動じない。いいキャラしてる!
演じるのは、劇団「はえぎわ」の主宰・ノゾエ征爾さん。たしかに、いとうせいこうさんに似てるかも。(笑)

ユリちゃん…じゃなくて、って、“じゃなくて”じゃなくて、ユリちゃんだよ。あってるよ!てやんでぃっ!
雑誌編集者の大田ユリちゃん。
このユリちゃん、取材と言いながら、あんまり取材らしいことをしていなかっただけでなく、いつのまにか楽屋の一員のようになっていて笑った。
高速増殖炉の人とのやりとりも面白かった。
有坂来瞳さんとのご挨拶は、笑うところではないよね…。なんでか笑っちゃった。
落語好きという設定だったけど、実際もかなりの落語好きだという南沢奈央さんです。

「末廣亭」席亭(寄席の責任者)の安達祐実さんが、小悪魔的存在で、楽屋をかき回していた。
伊藤克信さんと、ある意味では対照的に描かれていて、これも面白かった。

って、こうして登場人物を紹介していくと、どんどんネタバレになっていく気がするんだけど…。

百太もエンドウも小春さんも、いい味出してる。みけも万福も魚屋も真野響子さんもよかった。師匠たちも紙切りの人も最高。
三谷昇さんの役が地味に好きかも。(笑)
若は本当に若で、子供時代の若は神田監督のお子さん!ファミリー感じゃなくてガチのファミリーか!

とにかく、個性が強くて、魅力のある人ばかりだった。


フォーカスが特徴的で、見せたい人物に焦点が合って周りがボヤける感じ。トイカメラのような趣のある映像。ピントが移動するのも、なんだかキモチイイ。
楽屋にピンポイントに焦点をあわせた映画だから、ってこともあるのかなと思ったりも。


パンフレットに載っている関顕嗣プロデューサーの文章が、とても素敵。神田監督と一緒に映画にあこがれ続けてきた男の友情物語。グッときた。

あと、協力のクレジットに阿部能丸さんのお名前があって、なんだか懐かしかったりもしたかも。


なお、大阪シネ・ヌーヴォでの上映は、あと3回。26日(金)まで。
6月1日からは、名古屋シネマスコーレでの上映が決まってるそうです。


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